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◇前払費用は費用ではない!!
短期前払費用をご説明する前に、まずは前払費用の事から理解して頂いたほうが良いかと思います。
前払費用とは、「一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、事業年度終了時においていまだ提供を受けていない役務に対するもの」となっています。
つまり、来月分を支払うもの。例えば、駐車場代や家賃などは今月末に来月分を支払いますよね。まさにこの来月分の支払い部分を前払費用といいます。
前払費用は、税務上、費用ではなく資産として計上することになっています。そして、実際の役務提供時期(先ほどの駐車場代などでは来月)に応じて、 順次その資産を取り崩し、費用化されるべきものです。つまり、前払費用とは、お金は支払っていても、その時点では費用に計上できないもののことです。
◇節税効果大!!短期前払費用とは??
企業会計では、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらず、他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則にしたがった処理として認めています。(重要性の原則)
法人税の計算上も、この“重要性の原則”に基づく経理処理を認める立場から、「前払費用」として支払った金額のうち、支払った日から1年以内にサービスの提供を受けるもの(短期前払費用)については、【要件】を満たしていれば、支払った期に損金算入(費用計上)することができるとしています。(短期前払費用の特例)
◇短期前払費用としての要件
・翌期以降において、時の経過に応じて費用化されるものであること
・一定の契約に従って継続的にサービスの提供を受けるものであること
・継続適用すること
・重要性の乏しいものであること
・役務(サービス)の提供の対価であること
・当期中に支払いが済んでいること
◇短期前払費用の特例が適用されない例
・月払いで契約を交わしていた家賃について、貸主の了承を得ないで、向こう1年分を前払いした。
・顧問税理士等への報酬を期末直前に1年分を前払いした。
・期間限定の雑誌広告掲載料やテレビCM放映料等の広告宣伝費を前払いした。
※これは、期間限定の広告掲載料やCM放映料は、継続的なサービスの提供を受けるものではなく、時の経過に応じて費用化される性質のものでもないからです。
・賃貸事務所の1年分の家賃(4月から翌年3月分)を2月に前払いした。
※この場合、支払った時期から1年を超える期間を対象とする前払費用であるため、短期前払費用の特例を受けることはできません。
・借りているマンションやビル等を転貸(又貸し)することによって賃貸料収入を得ている場合
※このようなケースで支払う家賃は、収益(賃貸料収入)に直接対応する費用であるため、短期前払費用の特例を受けることはできません。
◇短期前払費用の特例が適用される例
代表的なもので、【地代家賃】
3月決算の会社であれば、2月に年払い契約に変更した上で、3月1日に3月~翌年2月までの1年分の家賃を支払えば、支払った金額を費用計上することができます。
上記の【地代家賃】のほか、【賃借料】【工業所有権の使用料】【保険料】【借入金利息】【手形割引料】【月払いの会費】などの費用は、短期前払費用の特例の適用を受けることができます。
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